HUMAP  兵庫・アジア太平洋大学間ネットワーク Hyogo University Mobility in Asia and the Pacific

2024年度『派遣』

  • 氏名:I.N [ 日本 ]

  • 受入期間:2025年02月17日 ~ 2026年01月31日
  • 受入大学:東海大学
  • 在籍大学:甲南大学


留学のきっかけ、目的

私が台湾に興味を持つようになったきっかけは、小学生の頃に母が中国語を学んでいたことでした。その影響で、家族旅行として三度台湾を訪れる機会がありました。初めての訪問ではただの旅行先の一つとして楽しんでいましたが、回数を重ねるごとに台湾の文化に惹かれていきました。
 さらに、日本で偶然目にした台湾の伝統文化である「布袋劇」の番組が、私の興味を一層深めるきっかけになりました。伝統文化が現代にも適応するように進化し続けていることに感動を覚え、台湾文化をもっと知りたいという思いが強くなりました。同時に、私は文楽などの日本文化も何度か見に行っており、布袋劇と文楽という人形文化を比較するうち、次第に「日本と台湾の文化を互いに伝え合い、日台関係をさらに良くするような人材になりたい」と考えるようになりました。
 その目標を達成するためには、実際に台湾で生活し、現地の文化や価値観を深く理解することが必要だと考えました。現在通っている大学の学部では留学が必須であり、迷わず台湾を選びました。特に、より台湾の文化が色濃く残る台中に在しているため、東海大学を留学先として選びました。




留学中の体験

・語学面
日本の大学で中国語の授業を受けてはいたのですが、いざ台湾で実際に会話をするとなると「すみません」と話しかけることでさえ緊張で躊躇するほどで、ネイティブの中国語も全く聞き取れずコンビニの買い物でさえままなりませんでした。英語も得意ではないので危機感を覚え、せめて最低限生活していけるくらいの中国語を身に着けよう、と決意しました。
大学では、華語中心という建物で毎日3時間中国語の授業を受けています。実用会話中心の授業で日々上達を感じますが、リーディングやライティングはほぼしないので少し物足りなさを感じます。私のクラスは少人数でクラスメイトは6人、さらに日本人は私しかいないので必然的に中国語で会話をするほかない環境になります。お互い一生懸命に拙い中国語を使うので、相手の言葉が通じなくても仲を深めることができます。

・専門科目
日本語学科での授業を2つ、英語の台湾文化の授業を1つ履修しました。台湾は日本語学科のレベルが高く、日本人の先生が日本語で授業を行います。さらに内容もかなり充実しており、どちらも政治、歴史の授業だったのですが毎週出席しないとついていけなくなるほどです。ディスカッションも多く、アイヌや慰安婦問題などあまり日本では触れられないような話もするので、これらの授業を受けられただけで台湾に留学してよかったと思えました。
台湾文化の授業では、カリキュラムの一環としてフィールドトリップが実施されました。私は台南を訪れ、歴史ある廟を見学したほか、パイナップルケーキ作りや、実際にパイナップル畑で収穫を体験しました。これらの活動を通して、台湾を支える産業や台湾文化について、知識として学ぶだけでなく、身体を通じて深く理解することができました。

・生活面
台湾で実際に生活する中で、いくつか印象に残ったことがあります。
一つは、食費が非常に安いわけではない、ということです。台湾は食事が安い、コスパがいいと言われていますが実際は1~2割安い程度で、さらに外食文化が発達しているため、寮に住む学生はほぼ毎日3食外食生活になります。学食の弁当や夜市の食事も300~500円はするので1日の食費を1000円以下に抑えるのは意外と難しく、結局自炊のほうが安いという印象です。これは私の中ではかなり意外でした。
もう一つは雰囲気の緩さです。例えば薬局やコンビニで店員同士が客に挨拶をせずおしゃべりに興じている、という状況は珍しくありません。時には友達と電話をしながらレジ対応をしています。夜市等の小さな店は特に「店員」と「客」の隔たりが少ないように感じます。これは中国語に敬語表現がないことも関係しているのかなと考えています。時間の感覚も日本ほど厳格でなく、特にバスの到着時間はたびたびずれます。バスがずれる、というと遅れて到着する想像をしますが、かなり「早着」をします。そしてそのまま早めに出発してしまいます。
 
・振り返り 
一人で海外に行って生活することに出発前は大きな不安を抱えていましたが、いざ台湾に到着してみると不思議と肝が据わり、その場その場の状況に対応しながら生活を進めることができました。日本にいては決して経験できない感覚でした。新鮮で刺激的な出来事ばかりで、毎日が学びの連続でした。
 一方で、授業を詰め込みすぎてしまったため、本来の目的であった布袋劇の調査に時間を割けず、そこが大きな反省点です。今後は学習計画に余裕を持たせ、目的を見失わないように取り組む必要があると感じています。

留学の成果、将来の目標

約1年の台湾留学も間もなく終わります。この1年間を通して、自分の深層の部分が変わったというのでしょうか、性格や行動が留学前よりも変化したような気がします。まず、以前よりも計画的になりました。日本にいたころは惰性で過ごすということが多かったのですが、留学中に「時間を無駄にしたくない」という意識が芽生えはじめ、計画を立てて物事に取り組むようになりました。
また、白黒思考をしなくなりました。以前は何事もはっきりと結論付けないと気が済まず、それで苦しむことも多かったのですが、留学中の人間関係を通して結論を急がないことの大切さを学びました。以前のように極端な思考で悩み続ける、ということが減り、かなり人間的に成長したと感じています。

●語学面
発見したことは、「1年の留学程度では全く足りない」ということです。
決してこの留学は無駄だったということではなく、むしろ語学力は間違いなく上がりました。当初と比べて、私の中国語は見違える程成長しました。一切の単語が聞き取れずコンビニでの買い物さえままならなかったのが、今や華語中心の先生とお喋りができる程度になりました。
ですが、未だに学校の外のネイティブの早口の聞き取りは難しいです。また、聞き取ることができたとしても会話の瞬発力が低く答えるのに時間がかかってしまい、そこで会話が終了してしまうということも多くありました。自分の中国語のレベルが上がれば上がるほど無力さが際立っていくようで悔しいです。
さらにあと1年台湾に居ればネイティブとも楽しく会話できるレベルになるだろう、ということ想像できるのでここで終了するのが本当に惜しいと感じています。

●将来について
自分の中国語力はまだまだ伸びしろがあることが分かったので、帰国後も初心を忘れず励みたいと思っています。
そして目標と言えるほど大層なものではないのですが、将来は中国語を使う仕事をしたい、と思うようになりました。せっかく身に着けた中国語を使わないのが惜しいというのもありますが、この留学を通して外国語を使って喋ることの楽しさを知ることができたからです。華語中心のクラスメイトと新しく覚えた語彙を使って会話をする日々はとても充実していました。言いたい表現が出てこず悔しい思いをすることもありましたが、それ以上に自分を試す感覚がとても楽しかったのです。そして時には逆にクラスメイトに日本語を教える機会もあり、言語交換の楽しさも知ることができました。
まだ曖昧ですが、将来は日本語教師、または中国語教師などの言語を教える職に就きたいというビジョンが見えてきました。